開放B寝台で行く

寝台特急北斗星旅行記

 

1,札幌19:27発「北斗星4号」上野まで 


 

● 旅立ちは帰宅ラッシュのホームから 

▲北斗星出発前の札幌駅ホーム。

▲特急北斗星の表示。

 

 2006年11月、3連休の前日木曜日、会社が終わるとすぐに自宅に戻り、旅支度をして札幌駅に向かう。駅に着いたのは19時過ぎ。北斗星4号の発車時刻は19時27分である。キヨスクでビールやお茶などを買い込んで急いで改札を通る。

 

5番線ホームには青い車体を連ねた「北斗星」号がすでに入線していた。すでに夕方ラッシュも過ぎた時刻だが、ホーム向かい側の6番線は空港行快速「エアポート」が発着して慌ただしい。

 

使用する切符は、「札幌・東京フリーきっぷ」と言い、値段は2万9500円。札幌から東京までの往復きっぷと、首都圏のJR線が自由に乗れるフリーきっぷをセットにした券である。

 

▲今回の旅行で使用した「札幌・東京フリーきっぷ」。

 

往復は北斗星のB寝台か、東北新幹線が利用できる。B寝台オンリーで個室は利用できない(別に寝台券・特急券を購入すれば可)。飛行機でも安いのは同じくらいの値段で往復できるので、使い勝手の微妙なきっぷではある。

 

同じようなきっぷに、東京方面から北海道への「ぐるり北海道フリーきっぷ」というのがあって、こっちは個室B寝台も利用できるので少し不公平じゃないかと思う。

 

ホームの立売で駅弁を買って車内に入る。指定された寝台は5号車4番下段。寝台は最初からセットされている。向かいの下段の人は発車前からもうすでにカーテンを閉めてしまっている。カーテンを開けて寝台に座ると狭いし薄暗い。まだ横になる時間でもないし、しばらくここに座っていよう。とりあえずビールと駅弁を開ける。発車直前になって、上段の人が一人やってきた。

 

いつの間にか発車時刻になっていて、列車は静かに動き出していた。ここまで随分とバタバタしていたが、車内は静寂そのもの。

上段の男性客が、どうしたもんかという感じでいたので、下段の通路側に「ここにどうぞ座ってください」とすすめた。まだ19時半過ぎで横になるつもりもない。

上段の人にどちらまでと聞くと、郡山まで行くという。仕事で札幌に来て、他の人は明日飛行機で帰るのだが、自分はこの寝台列車で帰ることにしたと言う。

 

▲すでに寝台がセットされている。

▲流れる夜景。

 

上段の人がベッドに上がり、こちらは隣の車両6号車のロビーカーへ行ってみる。ロビーカーは駅弁や酒を持ち込んだグループ客があちこち占拠して大盛況。ロビーカーの客層だけ見ていると、定年退職した夫婦のツアー客が多い。と言うかほとんどが東京方面からの年配の人たちで占めて、あとは子供連れの家族など。

ロビーの隅っこの席が1つ開いていたのでそこに座る。B寝台よりこっちの方が居心地が良い。

 

● 食堂車のパブタイム

21時過ぎ、東室蘭を発車してしばらくしたあたりで、食堂車から「パブタイム」を開始するとアナウンスがある。ロビーカーにいた人たちも何組か食堂車の方に移って行ったので、少し静かになった。

 

混んでいたらやめようかなと食堂車を覗いてみると、空きテーブルがいくつかあったので入る。メニューは、

ビーフシチューセット 2500

イタリアンハンバーグセット 2000

など。他はチーズやソーセージなどのおつまみ。

 

何にしようかといろいろ迷ったが、ミックスピザとボトルのハウスワイン赤にした。

まず、ワインが来る。

テーブルの窓際にはガラス製のスタンドと花が飾られていて、窓ガラスに映る車内や、遠くを流れて行く灯かりをぼんやり眺めながら一人ワイングラスを傾ける。

 

▲パブタイムの食堂車「グランシャリオ」。

▲チーズがたっぷり載った「ミックスピザ」。

 

 

やがてミックスピザが出来上がる。ピザは想像してたより大きくて、熱々のチーズとソースがたっぷりと載っている。一人で食べるには多いかもしれない。ワイン飲みながら、とろけ出すチーズとの格闘になる。

 

斜め向かいのテーブルには、夫婦と中学生くらいの娘2人の4人家族がいて、鉄道好きらしいお父さんが、娘たちに「鉄道知識」を盛んに披露している。

このお父さん、さっきロビーカーで呑んでいた時からすっかり出来あがっていて、北斗星に乗れたのがよっぽど嬉しいのか、さらにワインをボトルで追加したりする。お母さんはいささか呆れた様子。しかし、娘たちはそんなお父さんの鉄道話を感心しながら聞いているのであった。いい家族だなぁ。

 

▲ガラスのスタンドと赤ワインがいい感じ。

▲夜景の車窓。

 

パブタイムの客は、時たまフラリと現れてはドリンク一杯とおつまみで引きあげる人がほとんど。22時過ぎには自分一人だけになってしまった。

新たな客も来ないままラストオーダーになった22:30ごろ、自分の寝台に戻る。

 

▲狭いけどシーツを敷けば一晩の我が家。

 

● 北斗星の朝

朝起きたのは6時ごろ。窓の外を見ると濃い霧の中を走っている。今は東北の一ノ関と仙台の間あたりである。

 

着替えてロビーカーに行くと、すでに席が結構埋まっている。やはり年配の人ばかり。

話の内容から、6時半からの食堂車の開始を待ってるらしい。朝食は和定食と洋定食があるのだが、和定食は10食限定ですぐに売り切れてしまうことが多い。それを聞きつけたのか何が何でも和定食を食べなければならぬとばかりの意気込みの人もいて、まだかまだかと待ち構えている。

 

たかが朝食のことでそんなにガツガツしなくてもと思うが、この競争心こそが日本の経済を支えてきたのだろう。俺みたいに若いのはすぐに競争から降りてしまうので、日本の将来は暗い…?

 

6時半ごろ、「間もなく左側の車窓に松島がみえてまいります」と案内放送がある。仙台の少し手前でほんの少しだけ海が見える区間があって、そこがちょうど松島海岸なのである。

また自分の寝台に戻って横になる。

 

▲朝日が列車と一緒に走る。

▲朝日が映える松島海岸。

 

8時過ぎ、食堂車に行く。客はもう一組だけ。和定食は完売したと言うので洋定食を注文する。洋定食はジュースが付くので、オレンジかグレープフルーツかトマトジュースか聞かれ、トマトジュースにする。食後はコーヒーと紅茶ではコーヒーにする。

最初に出てきたのはトマトジュースと野菜サラダとフルーツ。最初にフルーツとは変わっている。サラダを食べているとメインディッシュとパンとヨーグルトが来た。メインはスクランブルエッグとハム1枚・ソーセージ2本それにフライドポテト。パンはライ麦パンとバターロール。パンがおいしい。

 

外の景色を眺めながらゆったりした朝食を楽しむ。贅沢な旅だ。最後にコーヒーを飲んで、お会計は1600円。高いとは思わない。

 

▲朝の明るい食堂車グランシャリオ。

▲食堂車で食べる洋定食。

 

▲広くて明るいロビーカー。

▲貫通路にあった北斗星のテールマーク。

 

B寝台に戻ると、同じボックスだった人は郡山でみんな降りたらしく、だれもいなかった。北斗星4号は上野着が11時過ぎなので、途中駅で降りる人が多い。他のボックスも空席が目立つようになってきた。

そんなわけで上野までの3時間近くは、ほぼ個室状態でゆったりと過ごせた。

 

大宮を過ぎると、京浜東北線の駅を次々と通過、外の世界の1日はとっくに始まっており、どの駅も大勢の人が立っている。

11時19分、列車は上野駅に到着した。

 

▲上野が近くなると近郊の電車駅を次々に通過する。

▲札幌から16時間走り続けて上野駅に到着。

 

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