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青春18きっぷ旅行記 2005年 〜 札幌発広島行

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第10章 広島市内と広電 (9月8日)

 

路面電車と原爆ドーム

予定通りならば、松山からフェリーで広島に入るはずだったのだが、台風で予定が狂ってしまい、今日は1日広島観光となってしまった。

広島に来たのは今回で4回目。すべて広電に乗るために訪れている。実は私は大の路面電車マニアで、国内旅行のほとんどは全国の路面電車に乗るためにしているようなものだ。

 

各地の路面電車は細々と残っているという感じは拭えないが、ここ広島電鉄市内線は路線の総延長19kmで、8系統もの路線がある。1日当たりの利用者数は約10万人。路線数も利用者数も全国一の規模である。そのほかに郊外路線として宮島線とがある。市内線と宮島線は直通運転をしている。

 

ホテルを出たのは朝8時過ぎ。

3両や5両連結の電車が次から次へと走ってゆく電車を見ながら、当てもなく電車道の歩道を歩いて行くと紙屋町の交差点に出る。ここから地下にもぐり地下道を行くと本通りという所に出た。

 

アーケード街の本通と電車の道が交差するところで、本通という電停があり、横川行きというのが来たのでこれに乗る。この路線は数年前に新しくできた路線で、都心の紙屋町や本通とJR横川駅を結んでいる。ラッシュと反対方向なので車内は空いている。

 

横川駅前は前に来た時は、本数の少ない江波行の電車細々と発着する場末の商店街という印象しかなかったのだが、この変わりようはどうだ。

電車は駅前広場に直接乗り入れるようになり、駅と直結した大きな屋根が乗り場全体を覆っている。列車が着き、改札を出れば目の前が電車乗り場というわけで、わかりやすいし乗換えも楽でいい。

ふと、札幌市電が札幌駅まで延伸され、南口広場にこんなふうに乗り入れている姿を想像した。

▲ドーム状の屋根が覆う横川駅前。

▲「被爆電車」651号。本通で。

651号の車内。

横川から広電前行きの電車に乗って折り返し、また本通までもどる。

時刻は9時過ぎで、どこに行こうか。平和記念資料館はもう開いているのではないか。何回も広島には来たが、電車に乗るのに夢中だったり年末年始休業だったりで、まだ行ったことはなかった。

 

今度は反対側のホームに立っていると西広島行が来た。なんと「651号」被爆電車である。車内には「650型電車の由来」というのが掲示してあり、昭和20年8月6日午前8時15分、市役所付近を走行中に原子爆弾により被爆したとある。原爆で焦土と化した中、生き残った職員の手で懸命に復旧作業を行い3日後には一部区間で電車の運行を再開したという。

この650型電車は昭和17年製で壁や床は木製となっている。入念に手入れがされていて、まだまだ現役で走る。ただ残念なことに、最近では朝夕ラッシュ時しか運行されないようだ。

 

2つ目の原爆ドーム前で電車を降りる。原爆ドームの前を通り、人も少なく広々とした平和記念公園を歩く。アーチ型の慰霊碑の前では観光客がやってきて記念撮影をしている。

 

広島平和記念資料館は入館料50円。館内には被爆資料や遺品の展示などがあり、原子爆弾の恐ろしさを伝えている。被災のジオラマなど生々しくて1人でいたら恐ろしい、今日はさいわい朝から見学者が結構いる。さすがに外国人の客も多い。戦争の愚かさ、原子爆弾の恐ろしさが身にしみる。

 

1時間ほど見学して資料館を出る。日差しがきつい。今日は雲ひとつない快晴で暑くなりそうだ。

 

「安らかに眠ってください

  過ちは繰り返しませぬから」   原爆慰霊碑の碑文

▲原爆投下直後のジオラマ。赤い玉が爆心。

▲原爆ドームと相生橋。

▲のどかな平和記念公園。

 

広島つけ麺と宮島線電車

さっき来た方とは反対方向の平和大通を歩いて袋町電停に出る。平和資料館へはドーム前からより袋町か中電前で電車を降りて歩いた方が近いようだ。袋町からは広島港行の電車に乗る。

 

広島港も前は宇品と言っていたがフェリー乗り場があるので今の名称に変わった。終点広島港はここも巨大なドームで被われて、見違えるように新しくなっている。ここから四国や瀬戸内海の島々とを結ぶ連絡船が出ている。

広島港から広島駅行きの電車に乗る。この電車は3両連結で、いまどき珍しい車掌が乗っている。

 

広島の電車で最初に戸惑うのはこの2人乗務の電車である。1両目と2両目の中ドアが入口で、1両目先頭運転士横のドアと3両目の車掌が立っているドアが出口となり、お金も降りるときに料金箱に入れるのはワンマン電車と同じ。

「ガッ、ガッ」と車掌がブザーが2回鳴らすと発車オーライの合図である。

▲宇品線の電車内から。

今日は朝食を食べていなくて、そろそろ昼近くなり何を食べようかと考えていると、土橋を過ぎたところに「つけ麺本舗 ばくだん屋」の目立つ看板を見つける。

広島のB級グルメのひとつに「広島つけ麺」があるのは知っていたが、どの店に行くかは調べていなかった。ここでいいやと次の十日市町で電車を降りて、つけ麺屋に入る。結構有名な店なのかテレビの取材もきていたという看板がある。

 

『辛味噌つけ麺』というのを頼むと、「辛さは?」ときかれ、辛いのは好きなので「辛く・・・」と言うと“6”と聞こえたみたいで、店員が「はい6倍ですね」と言った。6倍・・・・って?よく見たらカウンターに辛さの一覧が貼ってあり、辛さは0〜20倍まであり、6倍とは普通の辛さで一番辛い味だった。

熱いつけ汁に、冷たい麺をつけて食べる。平べったい麺にゆでたモヤシと煮たまご、チャーシュー2枚が載り、汁はゴマと豚の脂身が浮いている。辛さは6倍だがもっと辛くてもよかった。唐辛子の効いたつけ麺を食べていると汗がふき出してきた。

▲電車通りにあるつけ麺屋。

▲『ばくだん屋』の『辛味噌つけ麺』。

▲街中でみつけたベロタクシー。

少し早めの昼食を食べ終わり、土橋電停に向かう。歩いている途中で自転車のタクシーを見かける。『ベロタクシー』といい、客も観光客ではなく普通に客を乗せて営業していた。料金は300円と表示してある。

 

土橋から宮島口行の電車に乗る。宮島口行の電車は全て3両か5両編成で、車掌が乗っている。土橋を発車すると狭い通りを電車は進む。観音町で、車掌が窓から後ろを確認して「左オーライです」と言うと、黄色い矢印信号は点いていないが、電車が左に曲がって発車する。

何度か右左折を繰り返して西広島へ。ここは前は己斐(こい)と言っていたが、広島港と同じようにJRと同じ西広島に改められた。よその人にはわかりやすくて良いのだが、なにかこう淋しい気がする。

 

西広島からは、宮島線と呼ばれ、専用の線路になる。今まで街の中をヨタヨタと走っていたが、西広島からは打って変わって高速で飛ばす。高速と言っても時速60キロくらいなのだが、線路際まで家々が密集しているところを走るので、より速く感じる。

 

楽々園という駅があり、何か楽しそうな名称なので途中下車してみる。べつにこれと言って何もない普通の町だった。駅近くに橋があったので、そこで電車の撮影をする。広電の線路の橋桁は川面スレスレの所に架かっていて、一昨日の台風では何ともなかったのだろうか。

 楽々園から再び宮島口行の電車に乗車する。

▲楽々園駅で降りてみる。

▲楽々園―山陽女子大前を行く『グリーンムーバ』。

▲車掌が乗る宮島線の車内。

終点宮島口には改札口があって、料金はそこで払うことになっている。私は1日乗車券のカードを持っているのでカードリーダーに通す。宮島口へは昨日も来たが、今日は広電宮島口駅に降り立つ。

 

駅前には宮島松大汽船の乗り場があって「宮島行のりば」と大きく表示してある。隣はJR宮島航路だが、こちらは広電グループの船だ。連絡船乗り場までJR宮島口駅から歩いて来ると、JRのほうが正面にあるので自然とそっちに行ってしまうが、広電宮島口で降りると、松大船のきっぷうりばが目の前にあり、乗り場が2つあることを知らない人は自然と松大船の方へ行ってしまうという仕組みだ。

乗り場では往復券を買うようにとの放送がしきりにある。往復割引があるわけで無し、どちらも同じ15分間隔だし所要時間も同じ、要は先に出る方に乗れば良いのだが、どちらも1人でも多く乗船客を取り込もうと商売熱心だ。

宮島は昨日行ったので今日はここで引き返すことにする。

 

あなご飯と広島お好み焼き

せっかく宮島口まで来たのだから、『うえの』で宮島口の駅弁『あなご飯』を買う。1折1470円で、同じ値段で店でも食べられるのだが、名前を書かされて待たされるので、面倒なので弁当にする。これは最近は駅であまり売っていないようだが、全国一の駅弁はと聞かれたら、この宮島口の『あなご飯』を推したいくらいだ。

買ったは良いが近くには食べるようなところは無いようで、弁当を提げたまま広電の電車に乗り、広島に戻る。

▲宮島口の駅弁『あなご飯』。1470円の価値はある。

▲広島駅前を走る電車。

▲本通電停は多くの人で賑わう。

宮島口から電車に乗ること1時間近く、原爆ドーム前で降りる。だいぶ日も傾いてきた。

 

平和記念公園の元安川べりのベンチが空いていたので、そこに座ってさっき買った『あなご飯』を広げる。弁当の包み紙は昭和初期に使用されたものを復刻したものである。

経木の折箱に香ばしいアナゴの蒲焼をぎっしり詰めてある。アナゴのアラで炊き込んだご飯にもアナゴの脂とタレがしみ込んでいる。以前に店で食べたことはあるが、冷めている方がおいしい気がする。

▲世界遺産の原爆ドームと電車。

▲広島市民球場と電車。

川の向こうに原爆ドームを見ながらあなご飯を食べていると、広島に居るんだなあーという気分になってきた。

 

平和記念公園からは歩いて紙屋町西へ行き、ここから広島駅行の電車に乗る。信号が青になり発車すると交差点の反対側に紙屋町東電停があり、そこでも停まる。客が乗り降りしている間にまた赤信号に変わる。

 

電車は走り出すと結構飛ばす。信号が多いのと電停が短い間隔でたくさんあるので、動き出したら猛ダッシュで加速、すぐに赤信号や電停で停止という感じである。停まってばかりでさっぱり進まない。的場町で、ここで降りて歩いた方が確実に早いというほど長い赤信号に引っかかる。紙屋町西から広島駅まで僅か2kmばかりの距離を、20分もかかって広島駅に着いた。

▲広島駅と広島港行き3連結の電車。

▲広島の常識『かき醤油』の広告入り吊革。

▲車内のプレート。この電車は元京都市電。

広島駅前は、寂れた商店街や市場があるだけの様な所だったが、最近は大きい商業施設ができたりして変わってきているようだ。

 

駅から今度は西広島へ。夕方のラッシュなので停まるごとに電車も混んでくる。電車に乗っているのもいい加減に飽きてきた。

 

西広島からまた紙屋町へ戻ってきて、『みっちゃん』というお好み焼き屋に入る。『スペシャルそば』とビールを頼む。

広島のお好み焼きは自分で焼くのではなく、店の人が作ってくれて皿に載せて持ってくるという所が多い。作り方を見ていると、溶いた小麦粉をまずクレープ状に伸ばして、その上に野菜や具を載せてひっくり返す。素人には難しそうだ。トッピングもいろいろあり、そばダブルなんてのもある。

▲夜の新天地、パルコの前。

▲『みっちゃん』のお好み焼き。

▲夜の街と電車。

『スペシャルそば』の内容は、キャベツ、豚肉、イカ、天カス、イカ天、卵、焼きそば。一番上のペロッとした皮のような薄い小麦粉も良いアクセントになっている。独特のソースを絡めて食べるとうまいっ。

1050円のお好み焼きに満足して、夜の街をぶらぶら歩きながらホテルに戻る。

 

明日は飛行機で札幌に帰ることになっている。

 

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