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さようなら、夜行オホーツク&ふるさと銀河線の旅

第5章 北見まで ―ふるさと銀河線 その2    2006年2月19日

 

 

 帯広から2両で来た北見行の列車は、池田で前の1両を切り離し、後ろの1両のみで北見まで走る。池田行の車両に乗っていたので、ここで後ろの車両に乗り移らなければならない。池田駅の3番線に1423、列車は到着した。発車は1442なので時間があるので、跨線橋を渡り改札を出してもらう。ちょうど札幌からの特急が到着するところで、改札口の前には列車を出迎える人が何人か立っていた。待合室にはキヨスクがあって、のぞいてみる。駅弁は置いていない。「バナナ饅頭」はいつでも置いているようだ。ワイン羊羹というのを1つ買い、改札を通ってさっきのホームに戻る。

▲池田駅の改札案内。ふるさと銀河線北見行の改札中。

▲アナログ表示な「のりば案内」。昔は道内主要駅でも見られた。

池田駅のホームには古い「のりば案内」の表示機がまだ稼働している。20年くらい前は、ホームに行先と発車時刻が表示される機械があったのは、札幌と函館くらいしかなかった。主要駅のホームにはこのようなアナログの表示機がぶら下がっていた。ふるさと銀河線廃止後もこの表示機は使用されるのだろうか。

▲池田駅跨線橋にあるふるさと銀河線の案内。

▲4ばんホームの案内。

▲池田でJRの車両は切り離す。

1両の北見行快速「銀河」号となった車内はすでに満席で立つ人もいる。ほとんどが廃止になるので乗車しに来たというような鉄道ファンや旅行客ばかりである。まあ、自分もその一人であるので文句は言えないのだが。しょうがないので1番先頭の運転士横に立って前面展望でも楽しむことにする。

 

池田駅のホームを離れると、左側へ根室本線の立派な線路が過ぎ去って行く。線路は地平線の彼方まで一直線。軌道の状態は良くなく、車端部ということもあってかなり揺れる。

黄色を表示する信号機が見えてくると最初の停車駅は高島である。なかなか良い味わいの木造駅舎に見える。

反対側の線路にはさっき池田駅で見た「999イエロー号」が停まっている。陸別まで行き、折り返してきた列車である。むこうの車内からもこちらにカメラを向けている。こっちからも何人かが反対側の列車を撮影していた。

▲左手に根室本線が別れて行く。

▲一直線に伸びる線路。

▲高島に到着。

▲高島で交換する「999イエロー号」。向こうでもカメラを向けている。

▲ホームだけの大森駅を通過。線路は雪原の中に消えてしまいそう。

 

本別では、十数人ほどが下車して、車内もだいぶ余裕が出来てきた。

足寄駅がだんだん見えてくる。線路を跨いで駅舎があるので、札幌市内の通勤駅と変わらない。ここでは降りる人もいるが乗ってくる人も多くて車内は混雑したまま。

だだっ広い十勝平野の中を走ってきたが、足寄からは次第に山が近づいて来る。線路のそばには、新しい通信線と古い通信線がずっと平行して走っている。新しい方は1997年にCTC(自動信号)化されたときに建てられたものだが、古い方を撤去するまでの予算はなかったのだろう。ニス塗りの木製電柱の横木に白いガイシがいくつも並ぶ電柱は、風景にもとけ込んで良い味を出している。この電柱は、独特の形から鉄道用語では「ハエタタキ」とも呼ばれている。

 

上利別駅のホームの脇は貯木場になっていて、山のように木材が積んであった。

列車は人家の無い林の中を走って行く。木で造ったデコボコのホームだけが現れる。笹森駅とあって、この列車は通過する。駅というよりまるで停留所と呼んだほうが実感がある。いったいどんな人が乗り降りするのだろうか。

▲大誉地駅で列車を待つ人。

▲上利別駅の材木の山。

▲山間の笹森駅を通過。

陸別では池田行の列車が1両この列車の到着を待っていた。相変わらず前面からはこの列車にカメラを向けた人が多い。「999ホワイト号」が現れたので撮影する人も嬉しそうな表情をしている。

 

陸別からは平地はほとんどなくなり、山間に分け入って行く。もうほとんど人家は無い。それでも、時たま無人のホームが現れて、後ろに過ぎ去って行く。木材の切り出しでにぎわった頃はあんな駅でも利用者がたくさんいたのだろう。

▲幅広のホームや木造の跨線橋の立派な陸別駅。

▲線路に沿って昔使われていた電柱がそのまま建っている。

十勝側最後の停車駅、小利別で旅行客が数人乗り降りする。ここからは釧北峠越えのため急勾配になる。列車はエンジンをめい一杯唸らせるが、スピードはなかなか上がらない。

峠越えと言ってもふるさと銀河線にはトンネルはなく、地形的には石北線よりもずっと穏やかである。一時期、銀河線を高速化させて振り子特急を走らせ、札幌・北見間の時間短縮をすると言う話があったらしいが、遠回りになるが案外実現していたかもしれない気がする。北見への高速道路は池田・陸別経由で建設されている。 

▲名残客で盛況の北見行「銀河」車内。

▲『夢をだいて走る宇宙』夢は終着駅へ必ず着く。

▲終点北見に到着。降りるのは1番前から。

置戸駅が見えてきた。ここからまた乗ってくるようだ。後ろを見ると、座席はいくつか空いている。池田からずっと立ちっぱなしでいい加減に疲れてきた。空いている席に座らせてもらう。

 

外はだんだん薄暗くなってきた。置戸からは北見盆地の雪原を快調に走る。

天井の網棚の上に、「メーテル」と「鉄郎」のイラストがあって、松本零士さんのメッセージが書いてある。

「『夢をだいて走る宇宙』 夢は終着駅へかならず着く」

 

この列車はもうすぐ終着駅北見に着く。ちほく高原鉄道ふるさと銀河線はGWを待たずして420日が最終日になる。たぶん置戸発で北見駅に2302に到着するのが、この鉄道最後の列車になるのだろう。

いままで沿線の人たちに支えられて走り続けてきたのだが、地味で、観光客も寄り付かず、道民でさえ知らない人が多いこの鉄道。雪がすっかり消えた頃には、この線路に列車は走ることは無い。平日の深夜にひっそりと終着駅に着き、終焉を迎えるのが似合っているのかもしれない。

「999号」はいつまでも人々の心の中を走っていることだろう。さらば、ふるさと銀河線「999ホワイト」号。

▲再び北見に戻ってくる。「999ホワイト号」は陸別行として折り返す。

▲階段を登る途中で振り返る。もう心の中でしか走ることはない。さようなら。

 

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