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さようなら、夜行オホーツク&ふるさと銀河線の旅

第2章 北見まで ―冬のオホーツク海    2006年2月19日

 

 

眼が覚めると、外はもうだいぶ明るくなっていた。どこを走っているのかとカーテンをめくって外を見ると、わりと大きな町が見える。北見だと思っていたら美幌に停車した。

 

あと30分ほどで終点網走に着くので、起きて支度をする。寝台車では北見で降りた人は少なかったようで、ほとんどの寝台はふさがったままだ。

女満別を出ると網走湖が見えてくる。列車は湖畔を走るが、湖は完全に氷結して真っ白。白い湖面の所々にワカサギ釣りの小屋が見える。

▲夜明けを迎えた寝台車。

▲まだ薄暗い網走湖畔が見えると終点は近い。

▲屋根のないホーム先端は雪がうず高く積もる。

6:15に列車は定刻で網走駅の3番線に到着した。列車を降りた人は次々に階段を昇って改札口に向かう。ホームには接続の釧網本線に乗り継ぐ人が残った。

次の釧路行は6:41発で向かい側の2番線から発車するのだが、まだ入ってきていない。反対側の駅舎側、1番線ホームには、札幌行「オホーツク2号」が発車を待っている。

▲終点網走駅到着。

▲特急の終着駅にふさわしい立派なホーム。

▲極寒の中、夜通し走り続けた車両。

▲反対側1番線で発車を待つ札幌行オホーツク2号。

跨線橋を渡って1番ホームに行くと、ホームのそば屋がすでに営業していて、オホーツクから降りた人たちが数人いる。かけそばは1杯270円。稚内駅でも早朝からそば屋が開いていて夜行の客を待ちうけているが、夜行で着いて、食事にありつけるのは大変ありがたく、そば屋さんの温かみが感じられる。

 

札幌駅など大都会の駅でありながら、早朝に着いても何ひとつやっておらず、駅前のコンビニへ行くしかないではないか。

 

札幌行の「オホーツク」はこちらは各車両に数人といった状態。北見から大勢乗にちがいないが、日曜の早朝なのでこんなものだろう。6:23に札幌へ向けて発車していった。

 

立ち食いそば屋は今は使われていない改札口の横にあって、ホーム側と外()側の両方にカウンターがある。何を食べようか迷うが「月見そば」にする。寒い中で食べるそばは、何よりもうまいのだ。

▲ホームのそば屋は早朝から営業。

▲ホーム立ち食いの月見そば。

▲網走から乗換える釧路行普通列車。

6:41発の釧路行は1両のみ。車内は中央に向かって固定されたリクライニングシートが並ぶ。どの列もすでに埋まっていて、車端のロングシートに座る。普段は休日ならばがら空きの列車だが、この日は観光客や鉄道ファンで結構乗せて発車する。

次の桂台が網走の中心部に近い駅である。どこへ行くのか観光客らしい2人連れが降りていった。

トンネルを抜けると左側にオホーツク海が見えてくる。残念ながら流氷は接岸していない。鱒浦で地元高校生が2人乗ってくる。藻琴でも地味に乗り降りがある。藻琴を発車すると海岸沿いに出る。

 

オホーツク海は、波もなくどんよりとした暗い海が黒々と広がっている。山の稜線が、線路の彼方にうっすらと見えているのは知床半島だろう。

オホーツク海を間近に見ながら、列車は北浜へ。今回はここで降りる。ワンマン列車なので1番前の扉しか開かない。札幌からのきっぷと網走からの運賃260円を運転士に渡して降りる。ここ北浜で降りた人は10人ほど。「オホーツク海に一番近い駅」として、そこそこ有名な駅でもある。

いつの間にか駅の横に展望台が建っていて、そこに登る。さっき乗ってきた1両の列車は、雪原に向かって走り去った。

▲オホーツク海岸沿いにレールは延びる。

▲北浜駅の展望台から。この日は流氷はなかった。

北浜駅の前は国道244号線だが、たまに車が通るだけで、海も町も静まり返っている。ホームに立ってオホーツク海を眺めていると、カムチャツカ半島から流れ着いた人が歩いてそうな、そんな想像をしてしまう。暗い海でも、日本海や太平洋とはぜんぜん違う、この空しいような空気は。

ところでオホーツク海側は、なぜか人の質も違うような気がする。この地方出身の人は、おおらかと言うか、荒っぽい人が多いように思えるのだが。

オホーツク海岸の流氷は、アムール河口からサハリンの北側をまわって、はるばるやってくるという。

 

―沖合はガスにうもれている

渚はびっしよりに濡れている

その濡れた渚に黒い人かげが動いている

黒い人かげは手網を提げている

黒い人かげは手網をあげて乏しい獲物をたずねている
黒い人かげは誰だろう

黒い人かげはどこから来ただろう―                 中野重治「北見の海岸」より

 

▲北浜駅正面。現在は「停車場」という喫茶店になっている。

▲遠くに霞む知床の山々。

北浜の駅舎は「停車場」という喫茶店になっていて、結構有名のようだ。この時間はまだ営業はしていない。待合室には、壁といい窓といい定期券や名刺がびっしりと貼ってある。

 

7:16、北見行の列車が時間通りに現れる。20分の滞在時間が意外に長く感じられた。

この列車も1両のみワンマン運転で、北浜は無人駅なので、乗る時に整理券を取る。バスとおんなじだ。車内の乗客は地元の人が数人のみ。さっきの列車を降りた人たちもほとんどこの列車で降り返す。

▲長年風雪さらされた駅名板。

▲北浜駅待合室には定期券が壁いっぱいに貼られている。

▲ホーム側から見た北浜駅舎。

▲北見行普通列車が到着。

▲網走駅1番線ホーム。

▲呼人駅。

乗る時に取った整理券を見ると、なぜか「原生花園」と表示してある。どうやら1つずつずれているようだ。

網走では12分停車するので、改札口で原生花園の整理券を見せて「北浜から乗ったのだが」と言って北見までの乗車券を買う。そう言えばさっき網走から乗った釧路行列車の運賃表示も1駅ずれていた。おおらかというか、もうちょっとしっかりやってくれと思うのだが。

←北浜から北見までの乗車券

あれ、ポケットに特割きっぷの札幌市内→網走の券が入っている。するとさっき北浜で降りるとき渡したのは…? アチャー、あれは札幌→網走の寝台券だった。何をやっているんだ俺は。

▲北見付近の高架線からは北見平野が一望できる。

▲北見に到着。

▲乗継ぎ時間があるので改札の外へ。

発車まぎわに北見へ行くらしい人たちが乗ってきて、7:43に網走を発車した。女満別で眠ってしまい、目覚めたら北見の1つ手前の柏陽であった。柏陽駅の前後は高架になっていて、また高い建物がないので北見盆地に拡がる町がよく見える。

網走発車時点では空いていた車内も、いつの間にかそこそこ乗っている。客層は北見へ遊びに買物に行くといった高校生や年配者など。8:49に北見駅のガランとしたホームに到着する。列車から降りた人は皆改札口へと向かう。

 

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