ふらりと初冬の道北をたずねて

使用した『道北一日散歩きっぷ』

 

2004年11月23日の祝日、雪が積もる前にどこかに行きたいと思い、日帰りの小旅行に出た。冬支度も終わり、あとは雪が積もるのを待つばかり。そんな初冬の道北をめぐってきた。

 

●札幌6:55発(スーパーホワイトアロー1号)→滝川7:44着

 

11月23日は祝日。前日に急にどこかへ行きたくなって、あれこれ検討した結果、音威子府まで行って駅そばを食べてくることにした。『道北一日散歩きっぷ』を使用して、普通列車を乗り継いで往復する。このきっぷは深川駅まで行けば購入できるので、滝川までは休日のみ発売され、特急自由席を往復利用できる『ホリディきっぷ』(3240円)を使用し、滝川から深川までは普通乗車券を購入する。

 

そんなわけで旭川行きの『スーパーホワイトアロー1号』に乗った。休日なので車内はがら空きだった。

 

▲札幌から『スーパーホワイトアロー』で出発。

▲石狩平野を快調に北上する。

▲滝川到着。ここで普通列車に乗り換える

 

●滝川8:10発(普通)→深川8:34着/8:42発(普通)→旭川9:14着

 

滝川に到着。『ホリディきっぷ』の効力はここまで。一旦改札を出て、深川までの普通乗車券を券売機で買う。再び改札を通って、ホームに向かう。しばらくして3両編成の列車がやってきた。さっき茶志内で追い抜いた、札幌を6:05に発の普通列車である。最後尾の車両は回送扱いのようで締め切りとなっていた。乗務していた車掌はここで降りてしまい、滝川・旭川間はワンマン列車となる。

 

2両で合計20人ばかりの客をのせて滝川を発車する。この路線は特急がジャンジャン走る大幹線だが、滝川・深川間の普通列車はわずか8往復が走るのみでローカル線そのものである。

 

深川で特急『オホーツク1号』に抜かれるため8分停車する。停車時間を利用して、改札を出て、駅のきっぷうりばで『道北1日散歩きっぷ』を購入する。この切符は旭川を中心に、天塩中川・上川・新得・美唄・増毛までの区間が普通列車のみ1日乗り降りできるというもので、旭川・永山・深川の3駅のみでしか買うことができない。乗車日当日のみの発売で、また列車本数の少ない路線ばかりなので、あまり使い勝手の良い切符ではないが、あちこちで途中下車したいときには便利だ。

 

自動改札機を通り、またさっきの列車に乗る。深川駅もいつの間にか自動改札になってしまった。

深川から乗った人も少なかったようで、相変わらず車内は閑散としている。旭川までは『Sきっぷ』もあるので、定期券以外の人は本数の多い特急を利用するのだろう。

 

納内を過ぎ、トンネルをいくつも抜けると近文で、ここから旭川の家並みが続く。

石狩川を渡ると終点旭川に着く。駅の手前では高架化工事が行われていた。数年後には旭川も高架駅となる。旭川駅のかくれた名物(?)となっていたステーションデパートや地下改札口はすでに無い。地下への階段入口はシャッターが降りていた。

 

▲滝川駅。

▲滝川から普通列車に乗り換える。

▲旭川駅のホーム。数年後には高架駅に変わる

▲いまや珍しくなった青いボックスシートが並ぶ。

▲比布付近はうっすらと雪化粧してた。

▲寂しい駅前の商店街。突きあたりが比布駅

 

●旭川10:27発(普通)→比布10:52着/11:05発(普通)→11:12永山着

 

とりあえず比布行の普通列車に乗る。2両編成で乗客は十数人ほど。車内は今やすっかり少なくなった国鉄オリジナルの青地のボックスシートが並ぶ。天井からは扇風機がぶら下がり、これもJNRのマークが入っていた。

 

旭川を出ると高架橋になり、旭川四条に停まる。北旭川貨物駅付近に旭川運転所が移転したため、この区間は複線電化された。新旭川で石北本線が分岐するが、あちらの方はまるでローカル線に見える。

車両基地が見えてくると、乗務員交代のため停車する。朝礼台のような短いホームと待合室があるが、乗客の乗り降りはできない。どうせならちゃんとホームをつくって、一般客の乗り降りもできるようにすれば良いのでは?とも思うが、ここは車両基地と貨物駅に挟まれた所で、駅をつくると長い跨線橋も架けなければならず、多大な投資をしてもあまり利用客は見込めそうにない、との考えなのだろう。

永山を出ると永山新川の真新しい橋を渡る。牛朱別(うしゅべつ)川の洪水対策として掘られたものだ。北永山を過ぎると石狩川を渡る。札幌を出てから合計で3回も石狩川を渡ったことになる。このあたりから雪景色となってきた。

 

比布駅はかなり前になるが、同じ読み方の医薬品のCMに登場して有名になった。

無人駅なので、降りるときに運転士に切符を見せる。ピンク色に塗られた木造駅舎が残っている。駅舎内には喫茶店も営業していて、乗車券の販売もしている。

 

▲エレキバンのCMで有名になった比布駅。

▲永山から乗る人は多い。

▲広くてきれいな永山駅の待合室。

 

比布からは来た時と同じ列車で引き返す。乗客はたった数人。次の永山で降りる。永山は上川支庁が引っ越してきたりで乗客は多く、この列車にも20〜30人が乗り込んで旭川へ発車していった。

ここ永山駅も木造駅で昔の北海道の駅の雰囲気をよく残している。

 

●永山11:27発(快速なよろ1号)→士別12:13着

 

永山でまた折り返して今度は快速『なよろ1号』に乗る。改札開始が遅いのも北海道の駅の特徴で、跨線橋を渡ってホームに着くと、もう列車が入ってくるところだった。やってきた列車は1両のみ。ボックス席はすべてふさがっているので、車端のロングシートの席に座る。ずっとがら空きの列車ばかり乗っていたせいか、そこそこ混んでいる列車に乗って少しほっとする。乗り物は基本的に空いているのが好ましいが、空きすぎるのも不安になる。やはり適度に人がいるのがよい。

 

この列車は名寄まで行くが士別で下車する。士別は名寄盆地のほぼ中央に位置する“市”だが、北海道旅行をしてわざわざこの町に来る人は少ないだろう。そんな駅にわざわざ降り立ったのには理由がある。待合室にある『駅そば』を食するということだ。数年前に新しくできたようで、特急でこの駅を通過するたびに気になっていたのだ。

 

▲永山駅からは快速『なよろ』に乗る。

▲士別駅の売店と駅そば。たこ焼や手作りパンもある。

▲士別駅の天ぷらそば。そばうどんは全品300円。

▲士別駅正面。

▲士別市内の様子。地味な町だ。

▲アーチ形の広告。

 

待合室のかつてキヨスクだったスペースが売店とそば屋になっている。メニューを見ると、かけ・きつね・天ぷら・カレーとあり、すべて300円。そばのカウンターの横に3人座れるテーブルがあって、そこにすわって天ぷらそばを食べる。味は普通かな。天ぷらは市販のものではなく自家製だとのこと。

そばを食べ終わり、次の列車まで1時間以上あるので、駅周辺を散歩してみる。中心部もひと気がなく寂しい。町の感じは富良野に似ている。人口も旭川からの距離もほぼ同じ。あちらは観光客が押し寄せるが、こちらは静かな道北の1都市である。

 

●士別13:30発(普通)→名寄13:54着

 

30分ほどで駅に引き返して駅の待合室でぼーっとしてるとあっという間に時間が過ぎる。今度は旭川から来た普通列車で名寄に向かう。2両編成の列車はやはり空いていた。

 

名寄駅は風格のある昔ながらの駅舎が現役で使われているので好きな駅のひとつだ。外観はレトロ調だが内装は近代的に改装されている。かつては深名線と名寄本線が分岐する拠点駅だったがどちらも廃止されて今はただの通過駅になってしまった。まだ稚内まで急行が走っていたときは、名寄行の車両というのがあってこの駅で切り離したり増結したりで必ず3〜5分停車し、売店で駅弁や駅そばを買う人がいたものだが、特急になってからはそんな光景もなくなった。

名寄駅にも駅そばがあり、待合室と1番線ホーム側からと両側から利用できるようになっている。駅そば屋で駅弁の『ニシン・カズノコ弁当』を買ってホームへ向かう。

 

▲士別駅。

▲士別から普通列車で名寄へ。

▲風格のある名寄駅。

▲宗谷本線の普通列車はほとんどが名寄で乗換え。

▲時々車窓に天塩川が現れる。

▲大正時代までは音威子府の役場は咲来にあった。

 

●名寄14:30発(普通)→音威子府15:26着

 

名寄からは稚内行の普通列車で音威子府まで行くことにする。銀色のキハ54形気動車が1両だけホームに停まっている。車内は快速海峡で使われていたものと同じ転換クロスシートが並んでいる。そもそもこの座席は東海道新幹線の車両で使われていたもので、座席だけがめぐりめぐってこんな北辺の地で使われている。

 

名寄を発車すると名寄川を渡る。名寄盆地はここで終わり、天塩川の谷に沿って北上することになる。まだ時刻は3時前だが、もう陽はかなり傾いていて西日が差し込んでくる。美深は日本一の最低気温−41.5度を記録したところである。さすがに近年は−30度台まで下がることはほとんど無くなったようだが、−20度程度まで下がることは珍しくない。JRでも新車両を導入すると、このあたりで試運転をするほどで、ここで故障しなければ道内どこでも走れるということだろう。まもなく音威子府で、この列車はここで1時間8分も停車し、稚内へ向けて発車する。

 

列車は音威子府駅の1番線に到着する。普通は1番線というと駅舎に面したホームだが、この駅はちょっと変わっていて、駅舎の前にはホームが無く、駅舎からはなれた所に土を盛っただけの短いホームがある。普通列車専用になっていてまるで0番線のような感じである。跨線橋を渡った2・3番線のホームの方が立派で、上屋もあり、特急列車はこちらに発着する。かつてこの駅から出ていた天北線はおもに3番線を使用していた。

天北線廃止後に立て替えられた山小屋風の駅舎の中に名物の駅そば屋があり、そば殻も一緒に練りこんだ独特の黒い麺を食べさせてくれる。他にも道の駅など、そばを食べられる店はあるが、音威子府のそばが全国に知れ渡ったのはこの駅そばが評判になったからだ。立ち食いそばなので一度ゆでたものを湯通ししただけだが、それでも十分堪能できる。天ぷらそば(420円)をたのむ。天ぷらは市販のギトギトのもので失敗だった。

 

▲待合室にある名物駅そば。

▲そば殻も練りこんだ黒いそば。

▲木彫りの味わいがある改札案内。

▲山小屋風の音威子府駅。

▲駅前の木造の商店。

▲音威子府を発車する特急『サロベツ』。

 

 山間の村の静かな駅だが、オホーツク海側の浜頓別へはこの駅からバスに乗り換える。旭川や札幌へ特急バスが走るようになって、音威子府から枝幸への連絡バスが廃止されてからは、駅の利用客もすっかり減ってしまったようだ。それでも札幌行の特急が発着する時間には、バスや車でやって来て列車に乗る人たちで一時賑やかになる。15:45に特急『サロベツ』が発車していくと、またもとの静かな駅に戻る。駅そば屋はこれで店じまい。薄暗くなりかけた市街を天塩川まで歩く。駅前には商店が数軒あるのみ。途中でセイコーマートに立ち寄るが、駅から結構遠くて10分程歩かねばならない。店を出るとすでにまっくらになっていた。

 

▲赤く照らされたホーム。

▲名寄で買った『ニシン・カズノコ弁当』。

▲駅弁にはやはりビール。

 

●音威子府17:07発(普通)→20:24旭川着/20:49発(普通)→滝川21:34着・21:39発(特急オホーツク8号)→札幌22:38着

 

人影の無い暗い夜道を歩いて駅に戻る。駅構内はオレンジ色の照明で暖かそうな感じがする。ホームにはすでに旭川行きの列車が入線していた。

引き返す列車はこれも1両で、座席はリクライニングシートが中央に向かって並ぶタイプだった。座席の向きはかえられないので、半分は後ろ向きに座ることになる。

音威子府を発車すると旭川まで暗闇の中を延々と走る。昼に名寄で買っておいた駅弁とさっき買ったビールで夕食にすることにする。

各駅に停まりながら走ること3時間以上、途中から乗る人もほとんど無く、終点旭川に到着する。岩見沢行の普通列車に乗り継ぐ。札幌駅ではほとんど見かけることの無くなった3両編成の711系電車で滝川まで乗る。滝川で『道北1日散歩きっぷ』はおしまい。ホームに降りるとまもなく特急『オホーツク』が入ってきた。札幌まではわずか59分。終点札幌に着いたときは現実に引き戻された気分になった。

 

▲特急の中古のリクライニングシートが並ぶ車内。

▲赤い711系の普通列車。旭川駅。

▲茶色いボックスシートが並ぶ。

▲滝川に到着。特急オホーツクに乗り換える。

▲滝川から乗った『オホーツク』車内。

▲札幌に到着。

 

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